原田ゼミナールAチーム

メンバー : 白井利典  吉川朋紀  白井敦  堀ノ内健二  小池良明  中村恵  福田 圭一


《対抗討論会論文要旨》
市場中心型政策の課題と問題点
《資源配分の効率化》

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《CONTENTS》
1 市場化の現状
〈規制緩和部門〉
2 金融市場(金融ビックバン)
 @ 金融持株会社
 A 証券市場
 B 政府の役割
3 労働市場 〈社会保障制度部門〉
4 社会保障制度
 @ 年金(厚生年金)
 A 医療サービス
 B 介護サービス(介護保険)
5 おわりに

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市場中心型政策について考えるにあたって、「資源配分の効率化」というサブタイトルをあげ、大きく分けて
「規制緩和」と「社会保障制度」の2つの部門についてみていくこととした。
それらのことはまず、市場原理、市場化の現状を見ていくことによりうかびあがってきた。

1 市場の波
 市場の波は今、世界に波及している。情報技術が世界的に発達し、情報化が経済を大きく変えている。
また、飛行機や船といった輸送手段は、昔に比べれば想像もできないくらいに低コストになった。その結果
貿易や資本の自由化が急激に進んだ。
 このような中で、アメリカで情報通信、金融、航空など様々な分野で急速な規制緩和が進み、その結果
グローバルに非常に強い競争力を誇るようになった。そして日本においても金融ビックバンが始まり、今後
国際的な資本取引がさらに拡大することが予想される。
 また、従来のままの経済構造を維持するならば、税収は十分に確保できず、他方、高齢化の進展とともに、
南京や医療負担の増加は避けられず、財政赤字が膨らむ一方であるという予想がある。経済の不活性化が
高齢化社会における資産運用の道を本格的にふさぐことが明らかになり始め、こうした流れの中で日本経済
の転換についての予感が次第に高まっている。
 こうした理由から私達は最初に述べたように「規制緩和」「社会保障」の2つをピックアップし、そこに見られる
それぞれの問題から市場中心型政策の必要性および課題と問題点を検討していく。

《規制緩和部門》
 規制緩和部門では金融、労働について取り上げる。
日本の金融システムは、バブル崩壊により後に残った膨大な不良債権問題がある。また、金融機関の国際
競争力が全くないことが明らかになり、競争回避のための規制を嫌うジャパンパッシングの傾向がある。それら
に伴い、ビックバン方式による大転換をしない限り、金融、資本市場のみならず、経済成長もできないという深
刻な事態を迎えていることから、「金融市場」をあげた。
 また、それらの転換に伴い、失業者問題、景気停滞による雇用、失業情勢の悪化が起きている。さらに少子
高齢化に伴う労働供給減少、女性雇用者比率の高まりにより、高齢者、女性の労働資本の効率的配分が問題
になることから「労働市場」をみていく。

2 金融市場
T 金融持株会社
 「独占禁止法」の改正によって純粋持株会社の設立が解禁され、今まで大蔵省の護送船団方式によって競争
を避けてこられた金融業会の体質を改善する手段として、金融持株会社方式による金融改革や金融再編が日本
版ビックバンの目玉になるだろうと考えた。
 金融再編の方法として、金融持株会社を提案する。これにより、子会社ごとに雇用関係や給与体系を完全に別
にすることが可能となり、年俸制、出来高払い制を導入し、優秀な人材の育成や引き抜きが容易となり、投資銀行
業務を飛躍的に拡大することができる。


金融持株会社の問題点
@ 銀行の支配力の拡大
A 財閥の復活
B 利益相反 解決策
@ 預金保険対象預金と対象外預金のように金融商品を多様化する
A 銀行による株式保有を制限する
B 公平なディスクロージャーを徹底させる

 

U 証券市場
 98年度から証券業務は免許制から登録制に変更され、銀行や保険といった金融業だけでなく商社、流通など、
他の業界からの参入が容易となった。そこで、株式売買取引をするにあたって証券会社での店頭売買やインター
ネット上での取引のような「第三市場」の創設を認め、機関、個人を問わず投資家が証券会社を選ぶ仕組みをりサ
ービスの向上や、事務の効率化を促進させることでベンチャー企業により効率的な資金調達の道を開くことが必要
である。そのため海外に流出した投資家を呼び戻すため、日本マーケットを再生させる手段として証券市場でのビ
ックバンを提案する。

規制緩和の方法:取引集中業務の撤廃・証券市場を通じたベンチャー企業への資金供給
問題点:証券税制・・・外為法改正との関連から有価証券取引税の廃止を提案

3 労働市場
 まず、資源配分を効率化させる労働市場の市場原理とは、労働移動を円滑化させることであると考えた。その上
で市場機能を最大限に生かすためには規制緩和が必要なため、外部労働市場の役割と日本的雇用慣行の見直
しを考える。

外部労働市場の機能充実 労働力需給調整機能強化のため公共・民間共に職業紹介機能の充実
新しい仕事につくための職業能力の再開発機能の充実
日本的雇用慣行の見直し 年功賃金が雇用の流動化を妨げるため、年俸制の導入
企業年金に関する各制度間の通算制度が設けられていないためポータビリティの構築に関する制度の整備

《社会保障制度部門》
4 社会保障制度
 社会保障制度が発達した国では退職後の年金給付、医療費の費用負担などの社会保障サービスを受ける。この
ような福祉給付制度やその給付額は受給者にとっては多ければ多いほど望ましいが、一方で費用が膨張するなど
抱えきれない問題が起きている。

@ 年金(厚生年金)
 公的年金機能を基礎年金のみとする・・・持続可能性とライフスタイルの選択に関する中立性を高める
 その他の年金・・・個人勘定をベースとして民営化(企業年金も個人単位とする)

A 医療サービス
現在の医療費は老人医療費の占める割合が3分の1。現在の医療費の中で老人医療費を賄うことは極めて厳しい
状況のため、介護保険を作り、新たな分野においての福祉政策を進める。

B 介護サービス(介護保険)
現在、介護費用は医療費に依存しており、今後高齢化の進展に伴い、医療費の増大は抑制しきれなくなる。その
ため、介護を医療から独立させ、介護市場において市場原理を活用し、効率化を進めることが必要である。
福祉部門でも民間企業の参入を図り市場原理を導入し資源配分の効率を高める必要がある。

5 おわりに
競争秩序とは市場を通じて自他の姿を映し出すことに意味がある。
競争というメカニズムを通じて自らの位置決めと、自らの努力の方向性と成果の評価とを行うことを期待する。